2004 Fiscal Year Annual Research Report
カシナガ成虫の分布と移動に関する要因の解明とナラ枯れの被害拡大予測モデルの構築
Project/Area Number |
03J50391
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井下田 寛 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カシノナガキクイムシ / 空間分布 / 林縁 / ギャップ / 林縁種 / 移動 / 光環境 / 風 |
Research Abstract |
1.林分内を飛翔するカシノナガキクイムシ(以下、「本種」)の空間分布を調べるために、粘着板トラップを使い調査を行った。縦長トラップ(長さ6-10m、幅50cm)では、林内・林縁ともに地上から0.5-2.5mの高さに捕獲数のピークが認められた。ギャップ中央に設置したバルーントラップ(最高地上高21m)でも、地上から1mの高さにピークが認められた。これは成虫が樹木の地際部を好んで穿孔する性質に関係している。横長トラップ(長さ10-16m、幅50cm)では、ギャップと樹冠の境界付近で捕獲数が最大となり、ギャップの中央部では少なかった。本種もまた、いくつかのキクイムシ類と同様に、林縁種であると考えられた。 2.本種の成虫は飛翔の際斜面上方へ移動する傾向があり、成虫の正の走光性がその原因の一つと考えられている。また、風下方向へ飛翔する個体が多いことも報告されている。本研究では、光と風が林分レベルでの成虫の移動に及ぼす影響を相対的に評価することを目的とした。データロガーによって風向と風速を記録した。風と移動の関係を調べるため、風見鶏に円筒状の粘着シートを取り付けた(以下、回転バンド)。その下には、斜面方向と移動の関係を調べるために、円筒状の固定バンドを取り付けた。回転バンドと固定バンドで捕獲された本種成虫の個体数と方向との関係を解析した。3年間の調査結果から、風よりも光の影響が強く現れた。したがって、光環境が林分レベルでの成虫の移動と分布を決定する最も重要な要因と考えられた。
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Research Products
(4 results)