2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の腸管吸収と食物アレルギー発症の分子機構
Project/Area Number |
03J50431
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 毅 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質の腸管吸収 / 経細胞輸送 / 食物アレルギー / 単クローンIgE抗体 / 脱顆粒 |
Research Abstract |
タンパク質を経口摂取してから食物アレルギーを発症するまでには、腸管内での消化、腸管上皮から門脈及びリンパ管を経た末梢への移行、IgEで感作されたマスト細胞の脱顆粒誘導といった様々な過程を経る。本研究では、腸管におけるタンパク質の体内への吸収経路および体内での動態を明らかにする事、また、マスト細胞の脱顆粒誘導の引き金となる抗原とIgE抗体の架橋形成を質的、量的に解析する事を目的として以下の実験を行った。 タンパク質の輸送経路を知る手がかりにするために、腸管から体内へ移行したタンパク質の分子量と電荷について解析した。卵アルブミン(OVA)をマウスに胃内投与後、門脈血および末梢血へ移行したOVAを免疫沈降により回収し、SDS-PAGEにより解析した。その結果、インタクトなOVA(45kD)と断片化した40kDaのバンドのみが検出された。また、十二指腸、空腸、回腸内にOVAを投与した場合においても同様なバンドのみが検出された。次に、免疫沈降により回収した末梢血中のOVAを二次元電気泳動法により分画した結果、45kDのspotがOVA標品のそれより塩基性側に検出された。以上の事から、OVAは単なる自然拡散ではなく、経細胞輸送により腸上皮から吸収され、その際に何らかの分子修飾を受ける事が示唆された。 脱顆粒誘導の道具として使用するために、既に取得していた2クローンに加え、新たにNC/Ngaマウスの脾細胞を用いて2クローンのIgE産生ハイブリドーマを作製した。4クローンの培養上清によりラットマスト細胞株(RBL-2H3)を感作し、抗マウスIgE抗体により脱顆粒を誘導した結果、1クローン(22F4)のみ他のクローンより顕著に低い脱顆粒誘導能を示した。
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