2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の腸管吸収と食物アレルギー発症の分子機構
Project/Area Number |
03J50431
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 毅 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質の腸管吸収 / 脱リン酸化 / 経細胞輸送 / 食物アレルギー / モノクローナルIgE抗体 / マスト細胞の脱顆粒 / リン酸化タンパク質 |
Research Abstract |
タンパク質を経口摂取してから食物アレルギーを発症するまでには、タンパク質の消化管内から体内への取込み、体内の免疫器官における抗原提示とIgE産生、マスト細胞表面に結合したIgEが再度摂取した抗原タンパク質で架橋されることにより誘導されるマスト細胞の脱顆粒、といった様々な過程を経る。本研究では、腸管におけるタンパク質の体内への吸収経路を明らかにする事、また、マスト細胞の脱顆粒誘導の引き金となる抗原とIgE抗体の架橋形成を質的、量的に解析する事を目的として以下の実験を行った。 タンパク質の輸送経路を知る手がかりを探るために、卵アルブミン(OVA)をマウスに胃内投与後、門脈血および末梢血へ移行したOVAの電荷について二次元電気泳動法により解析した。その結果、OVAは血液中へ移行する過程で荷電の変化を伴う分子修飾を受けることが明らかになった。標準OVAをウシ腸上皮アルカリホスファターゼで脱リン酸化した場合にほぼ同様な荷電の変化が観察されることから、OVAが腸管で吸収される際に脱リン酸化を受けると予想した。OVAの腸管吸収におけるリン酸基の影響を調べるために、標準OVAまたは脱リン酸化処理したOVAを胃内投与した後、末梢血に移行したOVAを定量した結果、脱リン酸化処理による有意な低下が観察された。このことから、消化管におけるリン酸化タンパク質の吸収にはリン酸基を介する経細胞輸送機構が存在することが示唆された。 アトピー性皮膚炎のモデルマウスと知られるNC/Ngaマウスの脾細胞を用いて作製した4クローンのモノクローナルIgEの抗原を、環境抗原および自己抗原についてWesternblot解析により探索した。その結果、1クローン(9E4)がヒストンH3に結合することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)