2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機電界効果トランジスタの特性向上を目指した有機薄膜の構造制御
Project/Area Number |
03J50441
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池滝 何以 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 有機FET / 有機薄膜 / モルフォロジー / 光電子顕微鏡(PEEM) |
Research Abstract |
最近、有機発光ダイオード(有機EL)や有機電界効果トランジスタ(有機FET)など、有機材料を用いる電子デバイスに関する研究が注目を集めている。また、優れた光・電子機能をもつ有機材料のデバイス化は、有機ELの実用化をきっかけに急速に進展し始めており、有機FETを中心とした情報処理機能をもつ入出力機器の開発が、強く求められている。 しかし、π電子共役系の有機材料を用いてFETを作製する限りでは、キャリア移動度が従来の無機半導体に及ばないという本質的な問題が残されている。この問題を解決するためには、有機分子の配向と薄膜のモルフォロジーの制御が不可欠である。 本研究では、Si基板を用いて、ボトムコンタクト構造の有機FETを超高真空中で作製し、キャリア移動度に影響を与える種々の因子について検討する。 有機FETの特性は、薄膜のグレインサイズやモルフォロジーに強く依存している。また、有機薄膜のグレインサイズは、基板の温度や蒸着速度のような製膜条件に依存することが知られているが、その成長過程には、依然として不明な点が多い。したがって、最初に、光電子顕微鏡(PEEM)を用いて、基板表面での薄膜の成長過程,モルフォロジー,グレインサイズについて検討する。PEEMは、試料表面で起こる現象の変化をリアルタイムで追跡することができるので、これらの現象を解明するのに極めて有用である。具体的には、基板の温度や蒸着速度を変えながら有機分子を蒸着し、大きなグレインが形成される条件について検討する。 これまでに、PEEMの設計を行った。具体的には、ステージに加熱・冷却機構を取り付け、基板の温度を制御できるようにした。 現在、PEEMの立ち上げおよび性能評価を行っている。
|