2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性/反強磁性界面のナノスピン構造とスピンエレクトロニクスへの応用
Project/Area Number |
03J50461
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久米 泰介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員-DC1
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Keywords | 交換結合 / MnPt不規則合金 / エピタキシャル膜 / 元素選択ヒステリシス |
Research Abstract |
ハードディスク(HDD)の巨大磁気抵抗効果読出しヘッド等に利用されている強磁性/反強磁性界面における交換バイアスのメカニズムを検討するため,CoFe(3nm)/Mn-Pt(30nm)/Pt(30nm)/Cr(10nm)/MgO(001)およびNiFe(3nm)/Mn-Pt(30nm)/Pt(30nm)/Cr(10nm)/MgO(001)エピタキシャル膜をMBE法により作製し,磁気異方性,膜構造,元素選択ヒステリシスループなどを調べた.NiFe/MnPt(001), CoFe/MnPt(001)膜ともに,交換結合に起因する大きな4回対称の膜面内磁気異方性を示した.この4回対称異方性はCoFe/MnPt(001)膜の方がNiFe/MnPt(001)膜より大きかった.これらの試料について,SPrint-8, BL25SUにおいてMnの元素選択ヒステリシスを測定し,界面でのMnモーメントの振る舞いを直接観測した.その結果,CoFe/MnPt(001)膜のMn磁気モーメントの方がNiFe/MnPt(001)膜のそれより大きいことが分かった.これらから,元素選択ヒステリシスにより得られたMn磁気モーメントはMnPt層内に生成された磁壁により生じ,その大きさは,界面での交換結合の大きさと,反強磁性体の磁気異方性のバランスにより決まるというモデルを構築し,実験結果の説明を試みた.モデル計算の結果,界面でのMnモーメントの大きさと膜面内の4回対称磁気異方性に相関が得られ,実験結果を良く説明することが分かった.また,このモデルがNiFe/MnIr(001)膜のような反強磁性材料を変化させた場合についても良く当てはまることが分かった.すなわち,強磁性/MnPt,強磁性/MnIrエピタキシャル膜の交換異方性は反強磁性層内に生成される磁壁によりおおむね説明できるという結果を得た.このことから応用上,交換結合の強い強磁性,反強磁性の組み合わせを検討することと,ネール温度もしくは磁気異方性の大きい反強磁性体を利用することが重要であるという材料設計指針を得た.
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Research Products
(1 results)