2003 Fiscal Year Annual Research Report
英語の小節内に現れる前置詞・不変化詞の統語的位置と小節構造の分析
Project/Area Number |
03J50481
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横越 梓 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小節構造 / 歴史的変化 / 前置詞・不変化詞 |
Research Abstract |
英語の小節の統語構造について、通時的な側面からの分析を試みた。英語史において、小節内に現れる前置詞や不変化詞の出現時期やその働き、振舞いなどを調査し、検討した。特に、同じように主述関係を導くのに、性質が異なると思われる2つの要素forとasについて、その違いの理由を、歴史的変化を辿ることで明らかにした。 古英語期には、小節内に現れる前置詞・不変化詞としてはtoやforしか現れないのであるが、現代英語ではforは現れるものの、asが多い。歴史の中でこれら前置詞・不変化詞の中でどのような変化があったのかを調査した。現代英語においてforは後続する範疇がNPに限られ、さらに虚辞が共起できないなど、前置詞としての機能しか持たないのだが、中英語や初期近代英語期のforは機能範疇的な性質を持っていたと思われる。ところがasが出現するようになってからその数も機能も衰退し始めたのである。asが小節内に現れ始めたのは中英語期であるが、この頃は非常に稀であったし、後続する範疇はNPのみであった。しかし徐々に生産的になり、また後続する要素にNP以外の範疇をとることもできるようになり、前置詞としての働きから機能範疇的な要素へと変化したことがわかる。この2つの要素が追った対照的な歴史的変化を比較すると、両者が密接に関わっていることがわかる。つまり、forの機能範疇的な特性が薄れるにつれ、他の要素、すなわちasが小節内に出現するようになったのである。そしてasは初めの頃はその統語的特性を確立できていなかったのだが、後続する範疇を増やしたり虚辞と生起するようになったりして、徐々に主述関係を導くという機能範疇としての特性を確立したのであると結論付けられる。
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[Publications] Yokogoshi, Azusa: "On the Syntactic Status of Small Clause Particles in English"English Linguistics. 20-2. 518-534 (2003)
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[Publications] Yokogoshi, Azusa: "Lexical and Functional Properties of For"Linguistics and Philology. 23. 61-72 (2004)