2004 Fiscal Year Annual Research Report
医療応用を目指したインテリジェント微小分析チップシステムに関する研究
Project/Area Number |
03J50501
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
野田 俊彦 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血液検査 / micro-TAS / Lab.-on-a-chip / 吸光光度測定 / その場診断(point of care) / インテリジェント・ヒューマン・センシング |
Research Abstract |
前年度までの研究において、より高感度、高分解能化を図るため、性能を決める受光素子を大幅に変更した。改良した受光素子は、作製プロセス最適化などを含めた各種改良の相乗効果により、従来組み込んでいた受光素子と比較して暗電流の大幅な低減、感度の向上が確認できた。これにより高いS/N比での信号検出が可能になった。この事はより低濃度領域での血液検査がより正確に測定可能になったことを意味する。前年度までは安全上の問題などにより擬似血液を用いて作製したチップの性能評価を行ってきたが、チップが実用化に近づいたことを踏まえ本年度は、本物の血液サンプルを用いて、作製チップの詳細な性能評価を行った。その結果、人間の正常域を含む広い測定範囲において、大変良好な直線性が確認できた。またその再現性は十二分に満足できるものであり、血液検査チップとしての有効性が証明された。繰り返し測定に対する耐久性の測定においても満足できる結果が得られたが、その過程で更なる改良の余地を見出すことに成功した。 上記測定と同時に、最終目標とするインテリジェント微小分析チップには欠かすことのできない、CMOS信号処理回路、周辺インタフェース回路などについても前年度に引き続き検討を行った。高機能、高性能化に向けた回路的なアプローチは本研究の特色の1つであり、独自性の強いものである。来年度に試作を予定している次期チップへの搭載要素を決定する段階まで到達することができ、今後詳細な回路設計に入る段階である。また、上記測定で得られた新しい知見より、システム全体の構成を改良することでより簡便かつ高性能なチップを構成できる予測が得られた。この改良案についても、次期試作で盛り込むべく、現在鋭意検討中である。
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