2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水反応を用いたバイオプラスチックの循環利用促進技術の開発
Project/Area Number |
03J50511
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 孝 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高温高圧水 / 亜臨界水 / 水熱反応 / モノマー化 / ポリ乳酸 / 生分解性高分子 / 乳酸 / 光学異性体 |
Research Abstract |
今年度は、「(1)乳酸回収に与える反応条件の影響の検討」について主に検討を行った。試料として島津製作所製のラクティTM5000(Mw=2.0×105)を用いた。光学純度がポリ乳酸の結晶性や融点に影響することが知られていることから、モノマー化の過程でのL体、D体に着目しながら研究をすすめた。 従来の報告から、高温高圧水が優れた加水分解能力を提供すると言われている250〜300℃においてポリ乳酸から乳酸の回収を検討した結果、各反応温度において反応時間15分以内に乳酸の回収率は80%以上になることが分かった。反応温度300℃では反応時間が30分経過すると回収される乳酸の量が減少した。これは、早い時間に生成した乳酸が時間の経過により乳酸自体が分解しているものと考えられる。 回収した乳酸の光学純度を測定したところ、反応温度の上昇、反応時間の経過と共に、光学純度が低下する傾向が確認された。 反応温度160〜200℃においてポリ乳酸から乳酸の回収の検討をした結果、試料として用いたポリ乳酸の融点は176℃以下でも乳酸の回収が可能であることが分かった。この結果より、ポリ乳酸は試料内部に高温高圧水が浸透し、内部より加水分解反応によって低分子かすることがわかる。分子量が低下することによって融点の低下が引き起こされる。融点の降下が反応温度を下回った際に、試料が溶融し加速的に乳酸に分解される。 今回、反応温度と反応時間が回収される乳酸に与える影響について検討した結果、ポリ乳酸から光学純度を低下させることなく乳酸を回収するには反応温度220〜230度、反応時間20分が好適であることが明らかとなった。
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