2004 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水反応を用いたバイオプラスチックの循環利用促進技術の開発
Project/Area Number |
03J50511
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 孝 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生分解性高分子 / ポリ乳酸 / モノマー化 / 水熱反応 / 高温高圧水 / 光学純度低下抑制 / バイオプラスチック / ケミカルリサイクル |
Research Abstract |
本研究は、水熱反応を用いてポリ乳酸から乳酸を回収し、循環型社会を構築するための要素技術開発として行われた研究であり、高温高圧水中におけるポリ乳酸および乳酸の反応挙動を明らかにするとともに、実際の廃棄物を対象とした場合に備え、混合物の反応への影響についても明らかにし、本技術を実用化に近いものにすることを目的としている。 高温高圧水を用いてポリ乳酸から乳酸を得るための好適な反応条件は、反応温度220℃、反応時間20分、試料と水の比1:20が好適であることが明らかとなった。ポリ乳酸は、ランダムに分子鎖の切断が起き、低分子化し、乳酸を生成することがわかった。更に、水熱反応の反応条件を制御することによって任意の物性を有するポリ乳酸の製造の可能性が示された。 乳酸は、構造が類似しているピルビン酸を中間体として光学純度の低下を起こしていることが明らかとなった。乳酸の光学純度低下の抑制には、反応温度、濃度、H+濃度の制御により可能であることが明らかとなった。反応温度については、160℃以下の反応温度では、乳酸の光学純度の低下が起きないことが分かった。更に、濃度の増加やNaOHの添加によっても光学純度低下の抑制が可能であることが明らかとなった。 混合物の場合の反応への影響を検討した。混合物として、実際の廃棄物を対象とした際に混合する可能性を考慮し、物性の異なるポリ乳酸、汎用プラスチック、添加剤(難燃剤、充填剤)について検討を行った。その結果、ポリ乳酸試料が混合物であった場合でも、ポリ乳酸から乳酸を高収率で回収することが可能であることが明らかとなった。更に、汎用高分子との混合では、乳酸回収だけでなく、混合物についてもそのままの状態で回収できることから、有用な技術であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)