2003 Fiscal Year Annual Research Report
M期キナーゼPlk1の新規基質の同定とその機能の解析
Project/Area Number |
03J50521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 洋行 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞周期 / オルガネラ / キナーゼ / 分子生物学 |
Research Abstract |
Plk1は高等真核生物で高度に保存されたセリン・スレオニンキナーゼで、細胞周期の分裂期における様々な現象に関与することが知られている。私は、これまでの研究でPlk1によるリン酸化のコンセンサス配列を同定しており、これを利用した探索から、MPFを負に制御する因子であるMyt1をPlk1の新規基質として見出した。次にPlk1によるMyt1のリン酸化の生物学的意義に関して研究を行った。高等真核生物では、ゴルジ体はM期になると層板構造がくずれ、無数の小胞や小管の集まりとなって細胞質中に散らばることが知られている。本研究で、同調したHeLa細胞において野生型のMyt1を恒常的活性型のPlk1と共発現したところ、ゴルジ体の断片化が強く誘導されたが、非常に興味深いことにPlk1によるリン酸化サイトを全てアラニンに置換したリン酸化不能型Myt1とPlk1を共発現した細胞ではこの断片化は著しく抑えられた。これらの結果は、Plk1によるMyt1のリン酸化がM期におけるゴルジ体の断片化に重要な役割を果たしていることを示唆している。また、siRNAを用いて内在性のMyt1を消失させた細胞では、コントロールの細胞に比べてゴルジ体領域の拡散が見られたことから、Myt1がゴルジ体の構造維持に機能することが示唆される。これらの結果をもとに、Plk1によるMyt1のリン酸化がゴルジ体のダイナミクスに与える影響及びその分子メカニズムについて現在解析を行っている。
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