2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子置換ノックインマウスを用いた、視覚機能多様性に関する研究
Project/Area Number |
03J50531
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 啓輔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視細胞 / 視物質 / ノックインマウス / 吸引電極法 / マウス緑 / 光情報伝達 |
Research Abstract |
薄明視と昼間視を司る桿体視細胞と錐体視細胞では、光感度や光応答の速度が異なることが知られている。しかし、両視細胞に発現する光情報伝達蛋白質のどのような性質の違いにより違いが生じるのかはよくわかっていない。本研究では、光情報伝達蛋白質群の最上流に位置する視物質が、視細胞の光応答特性に果たす役割を検証する為に、桿体視細胞に発現する視物質ロドプシンをマウス緑錐体視物質に置換したノックインマウスを作製し電気生理学的に表現型解析を行った。吸引電極法を用い単一視細胞の光応答を詳細に解析した結果、視物質の光反応量当たりの光感度は野生型に対しマウス緑ホモマウスでは1/4倍に低下することが分かった。ウエスタンブロット法により視物質以外の光情報伝達蛋白質の発現量の定量を行い、それらが光感度に与える影響を考慮した結果、マウス緑ホモマウスにおける光感度の低下は置換した視物質の性質の違いに由来することが示唆された。この結果をさらに詳細に検証するため、吸収極大波長が短波長側にシフトしたロドプシン変異体とマウス緑との交配により、互いに吸収極大波長が異なる視物質が同一の視細胞に共発現するヘテロマウスを作製し、刺激光の波長依存的に両視物質の反応比率が変化するという性質を利用して解析的に視細胞の光感度をロドプシンとマウス緑で比較した。その結果、ロドプシンからマウス緑への置換により桿体視細胞の光感度は0.33±0.14倍に低下することが明らかになった。一方、光応答のピークに達するまでの時間に関してはロドプシンとマウス緑で有意な差は観察されなかった。
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