2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50541
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永野 高志 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 面不斉 / メタロセン / 閉環メタセシス / Grubbs触媒 |
Research Abstract |
今年度はまず,前年度から継続してきた軸不斉(Allenylmethyl)silaneの不斉合成およびS_E'反応における中心不斉炭素への不斉転写に関する研究を完結させた.容易に合成可能な(3-bromopenta-2,4,-dimethyl)trimethylsilaneをパラジウム触媒存在下,種々の求核剤と反応させることによって対応する軸不斉(Allenylmethyl)silaneが高収率で得られることを見い出し,その不斉反応への拡張によって最高88%eeという高いエナンチオ選択性でアレンを得ることに成功した.また得られた軸不斉光学活性(Anenylmethyl)silaneを四塩化チタン存在下で種々のアセタール,アルデヒドと反応させることにより,高い転写効率で軸不斉を生成物の中心不斉に転写することに成功した(Org.Lett. 2003, 5, 217.). 次に面不斉メタロセンの触媒的不斉合成の前段階の研究として,閉環メタセシス反応を用いたジアリルホスファフェロセンからの架橋ホスファフェロセンの合成に関する研究を行ない不斉化への拡張にとって有用な知見を得ることができた.ホスファフェロセンの場合,Grubbs触媒を用いると目的とする閉環メタセシス反応は全く進行しないことが明らかとなった.これはおそらく基質のリン原子がルテニウムに配位して触媒活性種を失活させているからであり,この問題についてはモリブデンをベースとする触媒を使用することで解決した.またホスファフェロセンのα-位に二つのアリル基をもつ基質の合成にも成功し,本研究計画で目的とするエナンチオトピックなアリル基を持つ基質の合成にも応用できる有用な方法論を開発することができた(Organometallics 2003, 22, 1174.).現在この方法によって各種のジアリルメタロセン基質の合成を行なっている.またこの基質合成に関する研究の過程で,通常困難とされるアルキルハライドとGrignard試薬とのクロスカップリングが鉄を触媒とすることで容易に進行することを発見し報告した(Org.Lett. 2004. in press).
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小笠原 正道: "Palladium-Catalyzed Asymmetric Synthesis of Axially Chiral (Allenylmethyl)silanes and Chirality Transfer to Stereogenic Carbon Centers in S_E' Reactions"Organic Letters. 5巻2号. 217-219 (2003)
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[Publications] 小笠原 正道: "Synthesis of 1,1'-Diphospha[4]ferrocenophanes by Molybdenum-Catalyzed Ring-Closing Metathesis"Organometallics. 22巻6号. 1174-1176 (2003)
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[Publications] 永野 高志: "Iron-Catalyzed Grignard Cross-Coupling with Alkyl Halides Possessing β-Hydrogenes"Organic Letters. (印刷中). (2004)