2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子ドープ型磁性共存高温超伝導体の固有トンネル特性に関する研究
Project/Area Number |
03J50571
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 剛史 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 電子ドープ型高温超伝導体 / 微小メサ構造 / 固有トンネル特性 / 擬ギャップ / ジョセフソン接合 / 電子-正孔対称性 / 高磁場物理 |
Research Abstract |
今年度の成果として次のような結果が得られている。 1.フラックス法により育成した電子ドープ型高温超伝導体Sm_<2-x>Ce_xCuO_4(SCCO,x=0.14)単結晶上に4端子微小メサ構造(面積8×12μm^2、高さ約300Å)を作製し、層間(c軸)伝導特性を測定した。磁場で超伝導を抑制することにより、半導体的な挙動が顕在化し、その半導体的な部分で負の磁気抵抗が顕著に観測された。この特徴は、正孔ドープ型における擬ギャップ領域の振る舞いと定性的に一致しており、電子ドープ型高温超伝導体における擬ギャップの存在を示唆している。また、磁場印加に伴い転移温度は低下し、転移幅が比較的低磁場で飽和するという挙動は、正孔ドープ型の過剰ドープ領域と類似している。 2.SCCOバルク単結晶の超高磁場下(45Tまで)c軸伝導特性を測定し、磁場印加により消失する抵抗成分の存在を明らかにした。この抵抗成分は微小メサで観測された負の磁気抵抗に対応しており、SCCOで観測される磁気抵抗はこの負の磁気抵抗成分と磁場の2乗に比例する正の磁気抵抗成分との和で説明されることがわかった。また、擬ギャップの現れる温度と消失する磁場の間には、正孔ドープ型Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>と同様の関係が成り立っており、正孔ドープ型と起源を同じくする擬ギャップの存在が強く示唆された。さらに、高温超伝導体で観測される負の磁気抵抗成分の大きさに関して、キャリアの種類によらない実験式を示した。 3.現在まで、Sm原子の反強磁性転移に伴う伝導特性の大きな変化は見出されていない。
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Research Products
(1 results)