2004 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ・サバンナ帯における地域植生の動態に関する総合的研究
Project/Area Number |
03J50601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 將公 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 西アフリカ / サバンナ / 地域植生 / セレール / アカシア・アルビダ / 農耕と牧畜 / 生業変容 / 経済格差 |
Research Abstract |
本研究は、西アフリカ・サバンナ帯に成立する地域固有の人為植生(以下、地域植生)と、それを構築してきた地域住民との相互関係について、近年の生業変容を踏まえながら通時的に明らかにすることを目的としている。本年度のおもな実績は、1)論文の執筆、2)これまでに得た資料の整理と資料収集、3)地理的データの解析に必要となるGPSソフトの習得となっている。約半年間の現地調査も9月から予定していたが、5月から6月に熱帯熱マラリア、9月から10月に結核性胸膜炎に罹患したため遂行することができなかった。 論文の執筆においては書籍および学術雑誌へ投稿した。前者では、「セネガル中西部における「アルビダ植生」の維持機構」と題し、セレールの木々がマメ科高木のAcacia albidaからなる人為植生をどのように耕地の中に形成し、そして維持してきたのか、また、その背景となるAcacia albidaと人々との生業におけるかかわりについて多角的に検討した。後者(印刷中)では、"A Vegetation-Maintaining System as a Livelihood Strategy among the Sereer, West-Central Senegal"と題し、人為植生の形成と維持のあり方が近年の社会変容にともなって変化していることを説明し、さらにその社会的・経済的背景について検討した。 セレール社会においては、これまで長い時間にわたって綿密に維持されてきた人為植生が荒廃しつつあることが、報告者自身または他の研究者によって指摘されてきた。しかし、本年度の資料整理からは、近年の社会的・経済的環境の変化にともなって生業活動のあり方が世帯によって大きく異なり、二極化する傾向にあること、そして、そのことが新たな人為植生とセレール社会とのかかわりを生み出していることが示唆された。その内容は、「資源維持システムは形骸化したか?-セネガル中西部における社会変容と生態資源のかかわり-」と題して、研究会にて発表した。また、資料整理に際しては、GPSデータを解析するため、専用ソフトの習得も目指している。
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Research Products
(2 results)