2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50611
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荻原 寛之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核融合炉構造材料 / 低放射化フェライト鋼 / 照射硬化 / 照射効果 |
Research Abstract |
核融合炉によるエネルギー供給を実現するためには、要求される機能を十分に有するブランケットシステムの開発が必要であり、優れた耐照射特性を有する構造材料の開発が必要不可欠となる。本報告ではJLF-1鋼の高温重照射後の微細組織変化-強度特性の相関について、弾き出し損傷の効果について述べる。 過去の同試料に対する核分裂炉中性子による、420℃-最大60dpaまでの重照射結果から、10dpa近傍では引張強度の上昇、高損傷量側60dpaでは、強度特性の低下が確認されている。しかしながら、強度特性変化の原因についての詳細については、明確にされていない。照射硬化の原因について検討するため、シングルイオン照射による重照射試験を実施した。照射温度は420、473、523℃とした。照射温度上昇に伴い転位密度増加が確認されたものの非照射材と比較し、60dpa照射材では、硬度上昇は殆ど確認されなかった。照射温度470℃において損傷量依存性について検討した結果、20dpaでは微細な転位ループ形成によると見られる硬度上昇が確認されたが、高損傷量側・60dpaでは、転位密度が減少し硬度は減少した。また、60dpa照射材では、マルテンサイトラス内に非照射材では見られなかった第二相の析出が確認された。照射硬化については、元来、転位ループ形成による議論が主たるものであったが、転位組織発達含め、照射誘起析出相形成に挙げられる析出組織変化が強度特性を決定する要因のひとつとなる事が示唆された。ヘリウム効果を含めたいわゆる同時照射効果については本稿では述べないが、He/dpa効果として顕著な影響の有ることは以前に示しており、中性子エネルギーの変化によるHe/dpaの変化が中性子照射効果におけるエネルギー・スペクトル依存性の基本であることを示してきた。今後、この効果の定量的な予測が行えるように研究を発展させる予定である。
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Research Products
(1 results)