2004 Fiscal Year Annual Research Report
南海トラフで発生する巨大地震による広域津波の危機管理に関する研究
Project/Area Number |
03J50621
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 進吾 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 東南海・南海地震 / 津波 / 防潮扉 / 情報ネットワーク / 大阪湾断層 / 新潟豪雨 / 家屋被害 / 防災対策効果 |
Research Abstract |
東南海・南海地震による津波対策検討が沿岸各地で進められている.本研究はこの南海トラフで発生する巨大地震津波に対する被害軽減体制の構築を目的としている.本年度は大阪湾沿岸臨海都市域における津波脆弱性と防災対策効果の評価手法の詳細検討,Web技術と地理情報システムを利用した本災害に対する情報ネットワークの開発,2004年7月新潟豪雨水害の災害調査を行い水流が市街地に浸入した場合に発生する家屋被害に関する研究を行った.大阪湾沿岸に代表される臨海都市域は津波が浸水すると甚大な被害となるため,津波到達までの時間内に,整備済の防潮堤に設けられた数百の防潮扉を閉鎖することが被害を軽減する要件となる.しかし,その閉鎖には地震動に対する施設信頼性,閉鎖要員派遣計画の実現性に不確定性が存在するため,閉鎖活動の成否は確率事象として成立し,その可否によって左右される市街地の津波浸水被害もまた確率的となる.この不確定性を考慮し,現状の防災体制における浸水域および家屋被害を地域の現在の脆弱性,防潮扉をより効果的に閉鎖する対策を講じた結果として実現されるその減少量を防災対策の効果として確率論を用いて求め,政策効果を定量的に評価する手法を提案した.さらに,本手法をGIS・インターネットを利用して東南海・南海地震津波の数値解析と組合せ,情報ネットワークを開発した.津波外力はさらに2005年1月に地震調査研究推進本部が長期評価を公表した大阪湾断層帯の地震による津波の評価を行った.津波浸水域に発生する被害として家屋被害を評価した.津波氾濫流による家屋被害は,津波災害が低頻度であることから,その評価が困難である.そこで,同様の現象である2004年7月新潟豪雨水害の災害調査を行って家屋被害発生特性を調べ,浸水深から家屋被害を推定する関数を求め,過去の津波被害と比較することで水害被害調査結果を津波被害想定に援用するための基礎検討を行った.
|
Research Products
(6 results)