2003 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIEを介するRNAポリメラーゼIIの転写制御の分子機構解析
Project/Area Number |
03J50631
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 亜紀 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 基本転写因子 / TFIIE / Znフィンガー領域 / 転写開始 / 転写伸長への移行 / winged helix領域 |
Research Abstract |
1,ヒトTFIIEaのZnフィンガー領域の解析 Zn^<2+>を配位する4個のシステインをアラニンに置換したC129A、C132A、C154A、C157Aと、グルタミン酸E140、アスパラギン酸D164をアラニン、リジンに置換したE140A, E140K, D164A, D164Kの点変異体を用いて、転写と他の基本転写因子との結合に関して解析した。ZnフィンガーのN末側の2個のシステインとC末側の2個のシステインで、基本転写活性に非対称性が見られ、N末側は転写開始と伸長への移行の2段階に関わり、C末側は転写開始に機能する結果が得られた。他の基本転写因子との相互作用を調べると、C129A、C132AはTFIIFβとの結合が強くなり、一方、C154A、C157Aは、TFIIHのXPBサブユニットとの結合が低下し、このことは転写結果を良く説明する。また、酸性アミノ酸の点変異に関しては、転写がむしろ促進しており、特にD164への変異は転写活性を大きく増加する。この酸性領域には未知の因子が機能している可能性が示唆され、今後これらを検索していく。 2,ヒトTFIIEβのwinged helix領域の解析 二本鎖DNAとの結合に関与すると考えられる3個のリジンK86、K129、K142と、この領域に特徴的な酸性アミノ酸のグルタミン酸E101、E105に点変異を導入し、転写への影響を調べた。リジンの変異は転写活性が低下し、特にK129への変異が転写に大きく影響を与えた。また、K129がK86、K142より二本鎖DNAとの結合に重要であることが分かった。一方、酸性アミノ酸の点変異に関しては、転写への影響が小さかったが、今回の一つのアミノ酸に変異を導入するだけでは、転写への影響がさほど現れなかった可能性があり、今後、複数の酸性アミノ酸に変異を導入して解析を行っていく。また、今回の解析で変異を導入した部位に関しては、RNAポリメラーゼIIのCTDのリン酸化にほとんど関与していないことが明らかとなった。今後、さらに変異体を用いて、他の基本転写因子との結合実験を行い、この領域の転写での機能を明らかにするため解析を行っていく。
|
Research Products
(1 results)