2004 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIEを介するRNAポリメラーゼIIの転写制御の分子機構解析
Project/Area Number |
03J50631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 亜紀 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 転写制御 / TFIIE / TFIIH |
Research Abstract |
TFIIEの機能解析 TFIIEαの蛋白限定分解により、コア領域として同定された領域の一つであるC末端酸性領域を、横浜市立大との共同でNMR構造を同定した。また、この領域は、TFIIHのサブユニットであるp62と非常に強く結合し、TFIIEがTFIIHを転写開始複合体にリクルートするのに重要な働きをしていると考えられている。最近、p62の全長548アミノ酸のうち、N末端の1-108アミノ酸の構造が報告され、PHドメインを有することが明らかにされた。このPHドメインは、シグナル伝達、細胞骨格の形成、核移行など様々な過程で働く蛋白質が持つ構造であり、p62のPHドメインも、転写活性化因子やDNA修復因子と結合すると考えられる。そこでTFIIEとp62との結合が、このPHドメインを介したものであるのか調べるため、p62の欠失変異体を作製した。 TFIIEと相互作用する因子の検索 1,ヒトTFIIEと相互作用する因子を検索するために、二種類のタグを付けたヒトTFIIEαを発現するHeLa細胞株を樹立した。この細胞株を作る際、タグが付いたTFIIEαを過剰に発現する細胞株はほとんどクローニングされず、発現量の低いものがクローニングされた。また、内在性のTFIIEαの発現量がやや低下することから、TFIIEαは生存に必須であり、常に発現しているとされているが、その発現量も細胞内では厳密に制御されていることが考えられる。 2,今回作成した細胞から、核抽出液を調製し、タグに対する抗体カラムでTFIIEと相互作用する因子を単離した。ウエスタンブロットの結果から、TFIIHが含まれていることが分かった。TFIIEαは、TFIIEβを除いた他の基本転写因子、およびPol IIの中で、TFIIHのサブユニットであるp62と非常に強く結合することが、in vitroの実験で報告されており、今回の結果からin vivoでも結合していることが分かった。また、ゲルの染色図から、Pol II, mediator等、転写制御に重要な働きをするとされる因子が含まれていると考えられ、現在、Maldi-TOFマススペクトルを用いて同定を行っている。
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Research Products
(3 results)