2003 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫細胞発現系を用いたヒトコネキシン26の発現・精製・結晶化とX線結晶構造解析
Project/Area Number |
03J50641
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 将司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 膜蛋白質 / 細胞間連絡(接着)分子 / ギャップジャンクション / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
これまでにすでに昆虫細胞発現系を用いてヒトコネキシン26の発現が成功しているが、これを精製し結晶化を試みた。精製においては2段階の精製によりクマジー染色においてシングルバンドとして認められるほどの純度にまで精製できる。コネキシン26は膜蛋白質であるため、精製において蛋白質可溶化のために界面活性剤を使用する。この界面活性剤が最終的な結晶化のサンプルにまで入ってくるため、その種類によって結晶の善し悪しに大きな影響を及ぼすことが知られている。はじめはこの界面活性剤としてドデシルマルトシドを使用した。ドデシルマルトシドはすでにコネキシン26を安定に可溶化状態に保っておけることが確認されている界面活性剤である。適当な条件のもとで結晶化を行うと角のはっきりした菱形の結晶が得られ、これを適当なクライオプロテクタント中で凍結させ、Spring8の大阪大学蛋白質研究所専用ビームラインBL44XUにおいてクライオ条件下で放射光を当てて測定を行った。測定の結果、最高で約7Åほどの反射点が得られたが、その後の結晶化条件検討によってもこれ以上に分解能があがらなかったため、界面活性剤の検索を行った。十数種の界面活性剤について検索をおこなったところ、ウンデシルマルトシドがヒトコネキシシ26を安定に可溶化状態に保持しておけることが確認でき、早速この界面活性剤を用いて結晶化を試みた。この結果、最高分解能を5〜6Åにまで上げることができた。今後はクライオプロテクタントに改良の余地があるのでその検索と、コネキシシ26を安定に可溶化しておける他の界面活性剤についても結晶化を試みてみる予定である。
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