2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫細胞発現系を用いたヒトコネキシン26の発現・精製・結晶化とX線結晶構造解析
Project/Area Number |
03J50641
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 将司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛋白質 / 結晶 / 発現系 / X線結晶構造解析 / 細胞間連絡チャネル / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ヒト肝臓のmRNAからクローニングしてきたヒトコネキシン26をバキュロウイルスに組み込み、昆虫細胞Sf9を用いてコネキシン六量体(コネクソン、ギャップジャンクションヘミチャネル)を発現させた。組み込んだ遺伝子には6×Hisタグを融合させてあるのでこれを利用してNiレジンを用いた精製により目的蛋白質をほぼシングルバンドの純度で精製することが出来ている。精製後の蛋白溶液を電子顕微鏡で観察したところ、コネキシン六量体特有のドーナツ状のコネクソン粒子が多数見られ、その構造をたもったままの状態で精製出来ていることが確認できた。この精製コネクソンを濃縮しハンギングドロップ法によって結晶化を試みたところ、いくつかの条件で微小な結晶が出来ているのが観察された。その後、条件の検討を重ねることで長辺が150〜200μm程度の結晶を得るまでに至った。この結晶をSpring8 BL44XUに持ち込み、放射光を当てたところ、5〜6Å程度の分解能の反射点が得られた。しかしながら、この程度の分解能では原子モデルを構築するにはまだほど遠いため、さらなる高分解能データが必要である。そのために(1)結晶化条件の再検討、(2)クライオプロテクタントの検討、(3)結晶化法の検討、(4)精製条件の再検討、(5)使用するcDNAの検討、を行う必要があると考えられる。これらを行おうとした矢先、突如として精製蛋白質を濃縮する際に目的蛋白質が沈殿となってしまい、結晶化に十分な質と量の蛋白質を得られなくなってしまった。その後、ウイルスの純化、可溶化・精製条件の検討を行うことによって3リットル培養あたり〜5mgという、昆虫細胞での膜蛋白質としてはかなりの高収量を得ることができるようになったが、精製蛋白質の濃縮の際の沈殿については、部分的にはこれを攻略することができたが、いまだ高分解能を与える結晶が作成できるような質のよい蛋白質溶液をえることができていない。
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