2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉄基形状記憶合金のマルテンサイトバリアント変換に及ぼす磁場効果
Project/Area Number |
03J50661
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪本 辰顕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強磁性形状記憶合金 / Fe-Pd合金 / Fe_3Pt / バリアント再配列 / 磁場誘起歪 / 結晶磁気異方性 / 応力-歪曲線 / 結晶磁気異方性 |
Research Abstract |
本研究は、強磁性形状記憶合金のFe-31.2at.%PdおよびFe_3Pt(規則度約0.8)のマルテンサイト相における巨大磁場誘起歪を系統的に調査し、その原因である磁場によるバリアント再配列を統一的に説明する機構を明確にするとともに、その妥当性をエネルギー論的観点から評価したものである。得られた結果を以下に示す。 (1)両合金における正方晶マルテンサイトの一軸結晶磁気異方性定数の温度依存性を調べ、Fe-31.2Pdの磁化容易軸はa軸であり、Fe_3Ptのそれはc軸であることを見出した。 (2)Fe-31.2Pd単結晶のマルテンサイトに[001]_P (P:母相)方向に磁場を印加するとバリアント再配列が起き、結晶磁気異方性エネルギーの最も低いバリアントの割合が温度に拘らず100%となること、ならびに[011]_P方向に磁場を印加するとその割合が温度に依存し100%とはならないことを示した。また、[111]_P方向の場合、磁場による再配列が起きないことを明らかにした。 (3)Fe_3Pt単結晶のバリアント再配列に及ぼす磁場方向([001]_P、[011]_P、[111]_P)ならびに温度の影響を調査し、上記のFe-Pdと類似の結果を得た。ただし、いずれの磁場方向に対しても単一バリアントにはならないことを明らかにした。 (4)両合金の単結晶の磁場によるバリアント再配列に伴い数%の歪が現れることを示した。この磁場誘起歪はFe-31.2Pdの場合、磁場を除去しても回復しないが、Fe_3Ptの場合、その一部が回復することを見出した。この大きさは温度に依存し20Kで約1%にも達することを明らかにした。 (5)双晶界面上に働く磁気的せん断応力ならびに双晶変形せん断応力を用いて、磁場によるバリアント再配列が起きる条件を導き、上記した磁場下でのバリアント再配列挙動全てに対して妥当であることを定量的に確認した。
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Research Products
(5 results)