2003 Fiscal Year Annual Research Report
P2P型通信アーキテクチャにもとづく動画像配信システムに関する研究
Project/Area Number |
03J50671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ピア・ツー・ピア(P2P) / ストリーミング配信 / スケーラビリティ / 再生の連続性 / Bio-inspired |
Research Abstract |
本年はP2P型ネットワークにおける動画像データの探索,取得,蓄積といった動画像配信の要素技術である,スケーラブルな動画像データ探索方法(項目1),効果的な動画像データ取得先ピアの選択方法(項目2),動画像データのキャッシングアルゴリズム(項目3)について取り組み,効果的な制御手法を検討,提案した. 提案手法では,ネットワーク帯域とキャッシュバッファの有効利用のために動画像データをブロックと呼ばれる単位に分割し,検索・取得・蓄積・置き換えの単位とする.本研究で対象とするピュアP2P型ネットワークでは,ピアがメッセージを中継することで検索を行う手法が用いられるが,ブロック単位でこうした検索を行うとピア数の増加に対してネットワークに与える負荷が増大する.そこで,複数ブロックをまとめたラウンドを単位とした検索を行い,さらに前のラウンドでの検索結果から次のラウンドでの検索対象となるピアの数を動的に制限する手法を提案した(項目1).また,途切れのない動画像再生を実現するために,ピアは得られた検索結果の中でもっとも速く取得可能なピアから動画像データを取得する(項目2).さらに,提案システムはサーバの存在しない分散型アーキテクチャにもとづいており,個々のピアが局所的な情報のみを用いてネットワーク内の動画像データに対する需要と供給を推測し,適切な動画像データを置き換えられることが望ましい.この問題に対しては,生物界におけるアリの仕事分割・割り当てモデルを利用したキャッシングアルゴリズムを提案した(項目3). 計算機シミュレーションによる評価を通して,提案手法を用いることで従来手法に比べて検索メッセージ数を約1/6に減少できるとともに,動画像データの人気によらず途切れの少ない動画像配信が実現可能であることを示した.
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