2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミサイル分子を用いる細胞内病因タンパク質の選択的除去システムの開発
Project/Area Number |
03J50691
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
良元 伸男 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 選択的分解排除 / ユビキチンリガーゼ / バイオミサイル分子 / スプライス変異体 / RBCK2 / 制御可能 |
Research Abstract |
細胞内におけるタンパク質の選択的分解排除機構は重要である。この機構が正常に機能しないとタンパク質の蓄積及び変性が生じ、生体にとって重篤な疾患となる事が多い。例を挙げると、若年性パーキンソン病においては、α-シヌクレイン、パエル受容体、CDCrel1などの過剰な細胞内蓄積による神経細胞死が病因であると考えられている。また同時に、前述したタンパク質を基質とするユビキチンリガーゼ(E3)であるParkinのE3活性が下がっている事が知られている。近年、多くのE3とその基質との機能的相互作用に関する報告がされており、多くの場合E3活性が下がるとその基質の蓄積の度合いは増加する傾向にある。これらの知見と照らし合わせて、病気の進行具合により、バイオミサイル分子のE3活性を制御する必要があると考えられた。これまでに、RBCK1にはE3活性をもたないスプライス変異体であるRBCK2が存在すると報告されており、RBCK1の活性にRBCK2が及ぼす影響を調べた。HEK293細胞にRBCK1とRBCK2を強制発現させ、免疫沈降法により両者の結合様式を調べた。実験の結果、RBCK2はRBCK1のN末半分と特異的に結合すると判明した。この時、免疫染色法により両タンパク質の細胞内局在を観察したところ、両タンパク質は細胞質側に局在した。次に、in vitroにおいて、RBCK2がRBCK1のE3活性に影響を及ぼすかどうか調べたところ、RBCK2はRBCK1の活性を量依存的に抑制した。これらから、RBCK2はRBCK1と結合し、RBCK1の細胞質局在化を促し、そのE3活性を特異的に抑制する因子であると示された。この機能的相互作用を応用することにより、疾患の進行度に応じたバイオミサイル分子の創出が可能である。
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Research Products
(1 results)