2004 Fiscal Year Annual Research Report
多能性を維持するホメオボックス遺伝子Nanogの下流因子探索
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03J50711
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
徳澤 佳美 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ES細胞 / 未分化維持 / Nanog / マイクロアレイ / STAT3 |
Research Abstract |
Nanog過剰発現細胞においてSTAT3を完全に抑制するため、Socs3あるいはhLIFO5を過剰発現させた。これらの細胞とLIF/STAT3で未分化が維持されている野生型ES細胞はすべて未分化で形態上区別がつかない。従って分化に伴う2次的な遺伝子発現変化ではなく、NanogやStat3の直接の標的遺伝子を同定できることが期待された。これらの遺伝子発現パターンをDNAマイクロアレイにより比較した結果、候補遺伝子をいくつか同定した。これらの遺伝子のうちの一つ、Klf4(kruppel like factor 4/GKLF)はLIF/STAT3経路を抑制した時に最も発現量が変化した遺伝子であった。ノザンブロッティングにより、ES細胞とマウス成体各組織での発現を調べると、ES細胞では未分化状態の時に高発現し、分化ES細胞では発現が確認できなかった。しかし、成体臓器では精巣、肺、胃、小腸、皮膚で発現していた。Klf4cDNAをCAG発現ベクターに組み込み、ES細胞に導入してLIF存在下、非存在下での形態変化を調べたところ、Klf4過剰発現細胞はLIF非存在下でも、未分化状態を形態上維持し、分子レベルでも、未分化マーカーであるOct3/4を発現していた。また、LIF/STAT3を抑制した細胞に過剰量のLIFを加え、LIF/STAT3経路を回復させるとKlf4のmRNA量も増加したことから、Klf4はLIF/STAT3経路に属し、未分化状態維持に十分であることが示唆された。また、Klf4と同様に内在性Nanogの発現量も減少していたことから、NanogもLIF/STAT3経路に関与している可能性が示唆された。今後はKlf4やNanogがSTAT3によって直接発現調節されているのか、間接的に調節されているのかをルシフェラーゼアッセイやクロマチン免疫沈降、を行って解析していく予定である。
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Research Products
(4 results)