2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50841
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
長沼 誠二 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | H2RSP / 実験的腸炎 / 粘膜再生 / 免疫染色 / in situ hydridization / マイクロダイセクション / real-time RT-PCR |
Research Abstract |
新規核移行ペプチドH2RSPの機能解析、特に消化管粘膜組織の傷害時および再生時の挙動を探るためにマウスの薬剤性腸炎モデルを作製した。2.5%DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)を飲料水としてマウスに7日間投与すると特に大腸に炎症および出血性潰瘍病変を生じ、著明な血便、体重減少をきたす(腸炎状態)。その後投与を中止して7日後にはほとんど血便はなくなり全身状態も回復する(回復状態)。これらの各状態の組織中におけるH2RSPの蛋白レベルおよびmRNAレベルでの発現を免疫染色およびin situ hybridization法で検討すると、いずれにおいても炎症・回復状態の残存上皮は全体的に高発現であり、特に表層の細胞(再生上皮細胞)の細胞質に強く発現する傾向がみられた。これは、免疫染色では増殖が盛んな陰窩付近の細胞では細胞質に主として発現し,増殖が止まった管腔側の細胞では主として核に発現した、またIn situ hybridizationではmRNAが主として陰窩付近の上皮細胞のみで発現が見られたという正常時粘膜での所見と比べ、その発現は明らかに変化していた。さらに、炎症状態における粘膜間質に浸潤している炎症細胞の、特に細胞質中心に発現がみられた。次に各状態において、マイクロダイセクション法により表層上皮、陰窩上皮、間質に分けてRNAを採取しreal-time RT-PCRを施行したところ、正常時は間質にはほとんど発現がみられなかったのに対し、炎症時および回復時には明らかな間質での発現がみられた。また、粘膜全体でのH2RSP mRNAの発現を経時的に検索したところ、最も発現が亢進しているのは炎症期と回復期の初期であった。 これらの所見から、H2RSPの核移行は細胞増殖・遊走のストップシグナルの役割を果たしていると考えられ、再生上皮などにおいてはこの核移行が阻害されていると考えられた。
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Research Products
(1 results)