2003 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴ラマン分光法による無傷ミトコンドリア中のチトクロム酸化酵素の反応追跡
Project/Area Number |
03J50881
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 俊成 姫路工業大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミトコンドリア / 共鳴ラマン分光 / 生体エネルギー変換 / 酸素活性化 / 酸化的リン酸化 |
Research Abstract |
ブタ由来心筋のミトコンドリアを用い、ミトコンドリア中におけるチトクロム酸化酵素(CcO)の反応中間体の構造変化を時間分解ラマン分光法を用いて追跡した。まず、人工心肺装置*をミトコンドリア用に改良した。それを用いて、積算時間の増大によるS/N比の向上を図った。また、ラマン散乱の励起には423nmのレーザーを用いた。可溶化CcOにおいて、571cm^<-1>,804cm^<-1>,785cm^<-1>に出現する酸素化型,パーフェリル型,フェリル型に由来するバンドをミトコンドリア中においても観測することに成功した。現在のところ、これらのバンドの振動数は可溶化CcOと大きな違いは見られていないものの、寿命は若干長くなる傾向が見られており、今後詳細に検討する予定である。予備実験の段階では、804cm^<-1>と785cm^<-1>のバンドは分離できていなかったが、測定方法の改良によりミトコンドリア中でもこの2つの中間体を異なるバンドとして観測することに成功し、それぞれの中間体の存在を確認することができた。また、ヒドロキシ型中間体は現在のところ観測されていないが、測定を行った時間領域は反応開始後2msまでであり、これ以降の時間領域でヒドロキシ型中間体が生成していると考えられる。以上の結果から、酸素の還元反応における反応中間体がミトコンドリア中でも生成することが確認された。これは、これまで可溶化CcOで議論されてきた酸素還元機構が生体内においても実際に起こっていることを支持する結果となった。 *T.Ogura, S.Takahashi, S.Hirota, K.Shinzawa-Itoh, S.Yoshikawa, E.H.Appelman and T.Kitagawa(1993)J. Am. Chem. Soc., 115,8527-8536
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