2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50891
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
市川 広彦 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 軌道秩序 / 偏極中性子回折法 |
Research Abstract |
1.消衰効果の補正手法の確立 CeB_6の四重極秩序相(II相)のスピン密度分布を求めるために偏極中性子回折法を用いて磁気形状因子の観測を行った。その結果、磁気モーメントは磁性元素Ceサイトだけでなく、非磁性元素からなるB_6-B_6間、B_6クラスター表面にも存在することが判明した。しかし、この解析では消衰効果が十分に取り入れられていなかったため、消衰効果を正しく取り入れた実験を日本原子力研究所、JRR-3M、5G(PONTA)にて行った。まず、T=10K,Ei=78.5meVにて核散乱の精密測定を行い、Zachariasenの微分方程式[2]を用いてextinction parameter gを見積もった。次に、偏極中性子回折測定をH//<110>,H=5.9T,T=1.6K,Ei=78.5meVの条件下で行った。この測定結果にextinction parameter gを用いて消衰効果が補正された磁気形状因子を求めた。以上より、f電子系の研究で問題となっていた消衰効果の補正方法の開発に成功した。 2.Ca_2-_xSr_xRuO_4の軌道秩序の観測 Ca_<1.8>Sr_<0.2>RuO_4におけるメタ磁性転移前後の軌道状態を観測することを目的に偏極中性子回折実験を実施した。その結果、メタ磁性転移後の磁気モーメントはRuO_2面内に広がっていることが観測された磁気形状因子をFourier変換することにより確認された。しかし、最終的な軌道状態の精密な決定にはまだ至っていない。
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