2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50981
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
湯本 直杉 玉川大学, 工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 時間情報認知 / 電気生理学 / 慢性実験 / 前頭前野 / マカクザル / 高次機能 / 9野 / 前補足運動野 |
Research Abstract |
高次脳機能の研究分野において、現在注目を集めている研究のひとつである時間情報認知機能についての研究を行った。本研究は、ニホンザルを用いた慢性実験であり、ランプの点灯の持続時間によって表された1秒・5秒等の時間情報を記憶しておき、GOシグナルの出現後、提示された時間分だけ待機しボタンを押すものである。従来の時間研究における相対的な時間の長短の弁別課題と異なり、絶対時間の認知について扱っているところに大きな特色がある。 1頭目の個体では、1秒と5秒の時間情報を用いて実験を行い、比較的広範囲に電極を刺入してマッピングを行った結果、前頭前野の9野もしくは前補足運動野に時間認知関連のニューロンが局在している様子を見ることができた。2頭目では、2秒・4秒・7秒の課題を用いて実験を行った。電極の刺入範囲は、1頭目の実験から得られたマップを基準として用いた。 1頭目から得られたデータでは、主に時間情報の提示期間中に特徴的な活動が現れた。2頭目でも同じような神経活動が見られることを予測して実験を行ったが、こちらでは時間情報の提示期間中よりも、時間情報の再生期間中に様々なパターンを成す活動が見られた。2頭のデータをあわせ見ることで、呈示された時間情報の違いにより有意に活動を変化させるニューロンは、特に時間情報の再生期間中に多く観測されることがわかった。 以上の結果より、大脳皮質の前頭前野内側部、特に9野では、呈示された時間情報の長さにより有意に活動パターンを変化させるニューロンが存在し、その分布に有意な片寄りはないこと、また、それらの活動は運動制御時の時間情報処理に強く関わることが示唆された。 9野はまだその機能について未知の部分が多く、外部刺激とニューロン活動の間に有意な関係を見出した研究は稀少である。その意味においても本研究は大いに意義のある結果を示したと考える。
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Research Products
(1 results)