2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50991
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 良成 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 公開鍵暗号 / 安全性 / ランダムオラクル / Oracle Hashing |
Research Abstract |
本研究では、現在安全とされている公開鍵暗号系の方式をより現実的に安全な方式に近づけることであった。ランダムオラクル方法論とは、系に対する攻撃を試みる攻撃者が利用するハッシュ関数を真正なランダム関数として理想化したモデルを構成することによって安全性証明を得るための証明技法である。そのため、このモデルは現実と遊離している。本研究における成果は、ランダムオラクルモデルで安全であるが現実世界で非安全となると考えられている方式を現実世界でも安全に実現するための手法を提案することで、ランダムオラクルオラクル方法論を補強したことである。 ランダムオラクル方法論は、現在、公開鍵暗号系の安全性証明を得るために最も利用されている証明技法である。ランダムオラクル方法論では、系に対する攻撃を試みる攻撃者が利用するハッシュ関数を真正なランダム関数として理想化し、さらに、ブラックボックスなオラクルとして抽象化する。本研究では、ランダムオラクル方法論に基づく方式の現実世界での安全な具体的実現方法として、現実世界でランダムオラクルを置き換えるための安全なハッシュ関数をCanettiによって提案されたオラクルハッシング関数(Oracle hashing functions)を用いて実現する手法を提案した。これは、ランダムオラクルというオラクルを利用して安全性証明を得ることは認めるとしても、実現方法を工夫することで安全性を維持できるのではないかという提案内容である。この主張の根拠として、ランダムオラクルモデルで安全であるが現実世界で非安全となる方式があるが、提案した手法に基づいて実現すると現実世界でも安全にできるということを示した。この提案は、オラクルという抽象的なものを現実世界でどのように捉えるか、そして、漠然としたオラクルというものへの人々の感覚をより具体的に示している結果と考えられる。
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