2003 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌に高度に保存された多成分制御系conservonの機能と役割に関する研究
Project/Area Number |
03J51011
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小松 護 日本大学, 大学院・生物資源科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Streptomyces griseus / Streptomyces coelicolor / conservon / histidine kinase / GTP / GDP結合蛋白質 / 相互作用 / two-hybrid system / ATPase |
Research Abstract |
Streptomyces griseusにおいてrarオペロンはrarA、B、C、D、Eより構成され、それぞれ、ヒスチジンキナーゼ、機能未知、GTP/GDP結合蛋白質、シトクロムP450をコードする。そして、ゲノムが決定したS.coelicolorにおいて、構成因子とその並びが全く同じオペロンが13セット(cvn1-13;conservon)存在していた。同様にS.avermitilisに12セット、Nocardia farcinicaに5セット、Mycobacterium tuberculosisに1セット存在していた。 rarとS.coelicolorのrarオーソログであるcvn9は分化と二次代謝に作用するグルコース抑制に関与する。この機能と役割の解明のためS.coelicolorのcvn9(cvnA9〜cvnE9)のを対象に構成因子間の相互作用解析を行った。two-hybrid systemにより、A9のC末端領域とB9、B9同士、B9-D9、C9-D9の相互作用が示唆された。この結果を基に、組み替え蛋白質による相互作用解析と各因子の性質を調べた。 histidine kinaseと相同性を示すA9のATP結合活性とATPase活性を測定した結果、C末端領域にATP結合能とATPase活性を有することが示唆された。 ゲル濾過及びケミカルクロスリンク実験によりB9は二量体を形成することが明らかとなった。そして、B9はA9のC末端領域157アミノ酸残基に特異的に結合し、それは、ATP存在下で解離した。 D9はGTPとGDPに特異的に結合し、GTPをGDPと正リン酸へ変換した。そして、D9はGDP結合型でB9及びC9と結合し、GTP結合型でB9とC9から解離した。次に、S.coelicolorの無細胞抽出液から、D9と相互作用する2つの蛋白質を検出した。N末端アミノ酸配列決定とpeptide mass fingerprintはこれらがB9とD9であることを明らかにした。 私はこれまでの結果から次のような作業仮説を提案している。A9のC末端領域にB9二量体が結合し、B9にD9-C9複合体がD9を介して結合して複合体を形成すると推測している。何らかの細胞外刺激によりA9のC末端領域にATPが結合すると、B9がA9から解離し、機構は不明であるが、GDP結合型D9がGTP結合型となり、B9とC9から解離後、シグナル伝達の分子スイッチとして機能し、下流制御因子へシグナルを伝えると予想している。
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