2004 Fiscal Year Annual Research Report
触媒化学気相成長法を用いたカーボンナノチューブの合成と評価および生成機構の解明
Project/Area Number |
03J51091
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
平岡 樹 名城大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ / 炭素 / カーボンナノチューブ / CVD |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)の実用化に向けて、触媒浮遊CVD法を用いてCNT構造制御合成を目的として課題に取り組んだ。触媒浮遊CVD法では、反応温度900〜1000℃、触媒供給温度90℃、反応雰囲気としてアルゴンおよびエタノール混合ガス雰囲気50〜600Torrで、良質な単層CNTが得られることが明らかになった。この単層CNTの直径は、高分解能透過型電子顕微鏡およびラマン分光から0.8〜2.5nmと見積もることができた。 この手法では、反応管(石英ガラス)内の圧力が重要であり、圧力を制御することで単層CNTの直径の分布を制御することが可能である。反応圧力を低くすることで、反応管内の流速を大きくなり触媒粒子の加熱時間が短くなる。したがって触媒粒子の熱凝集が起こりにくくなり、小さい粒子でCNT合成の触媒として機能するため、細い単層CNTが合成される傾向にあった。また逆に、反応圧力を高くすれば、様々な粒子径の触媒からCNTが合成されるため、幅広い直径分布を持つ単層CNTが合成された。 次に、上記の直径分布の広いCNTを用いて、フラーレン(C_<60>)のドーピング(ピーポッドの合成)を試みた。本研究の手法で合成した直径分布の広い単層CNTを用いることで、ドーピングされたフラーレンは2、3次元的な配列をとることが期待される。またドーピングを行う際にCNTを精製する必要がある。塩酸処理および大気中加熱処理(300〜400℃)をすることによりCNTの精製を行った。この際、直径の小さい単層CNTは、曲率が大きいため破壊されてしまう。広い直径分布を持っていた単層CNTの中から、太い(1.2nm以上)ものだけを選択的に残すことが可能である。この精製した単層CNTを用いて合成したピーポッドを高分解能透過型電子顕微鏡により観察したところ、広い内部空間にフラーレンが3次元的に配列しているのが観察された。さらなる純度の向上と直径の均一化を目指すことで、フラーレン以外(例えば金属内包フラーレンやその他有機物質もしくはDNA等)の物質をドーピングできる可能性が広がると考えられる。
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Research Products
(1 results)