2003 Fiscal Year Annual Research Report
触媒化学気相成長法を用いたカーボンナノチューブの合成と評価および生成機構の解明
Project/Area Number |
03J51091
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
平岡 樹 名城大学, 理工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / CVD / 透過型電子顕微鏡 / ラマン散乱 / 触媒化学気相成長法 |
Research Abstract |
触媒化学気相成長(CCVD)法において、カーボンナノチューブ(CNT)の合成触媒としてフェロセンを使用し、エタノールを炭素源として、低コストで高純度な単層のCNTを合成することに成功した。また、フェロセンの昇華温度、合成温度および流速を制御することで単層CNTの直径分布を制御することが可能になった。一般的に、触媒をサポート材料に担持しない触媒浮遊CVD法では、触媒粒子の粒径を制御することが困難とされており、直径分布は合成温度のみに依存するという結果が報告されている。しかしながら、本研究の手法では触媒の供給量つまりはフェロセンの昇華温度そして流速という新たなパラメータが合成された単層CNTの直径分布に影響を及ぼすということを見出した。流速が速いほど、昇華温度が低い(触媒の供給量が少ない)ほど直径分布が狭くなり、およそ1.2nmの直径を持つ単層CNTが選択的に合成された。また、逆の条件では直径分布が広くなり、およそ0.8〜1.8nmであった。これらの結果は、流速そして昇華温度が、CNTを合成する触媒粒子のサイズを左右するパラメータであることを示唆している。今後、これらの実験事実をつきつめていくことで、さらなるCNTの制御合成を目指す。 また、単層CNTの内部空間を利用する実験として、C_<60>フラーレンをドーピングした単層CNTを高真空中高温熱処理し、内部のC_<60>の融合過程を観察する実験を行った。800℃で168時間加熱した場合、内部のC60は直径0.7nmの単層CNTに変化しており、1200℃で48時間の場合は0.7〜0.8nmまで様々な直径の単層CNTに変化していた。これらの実験事実から、C_<60>は一度、隣同士で融合をして、その直径サイズである0.7nmの単層CNTに変化した後、外側の単層CNTの相互作用を受け、それに適したサイズにそれぞれ変化していくことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Hiraoka: "Selective synthesis of double-wall carbon nanotubes by CCVD of acetylene using zeolite supports."Chemical Physics Letters. 382. 679-685 (2003)
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[Publications] S.Bandow: "Raman Scattering study on fullerene derived intermediates formed within single-wall carbon nanotube : from peapod to double-wall carbon nanotube."Chemical Physics Letters. 384. 320-325 (2004)