2003 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリオクロリン自己会合体を用いた光合成アンテナの超分子構造とその機能解明
Project/Area Number |
03J51101
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
國枝 道雄 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | バクテリオクロリン / 超分子構造 / クロロゾーム / 光応答ナノデバイス |
Research Abstract |
本年度は、安定なバクテリオクロリン分子の合成を軸に、それとともに自己会合性バクテリオクロリン分子の合成と自己会合挙動の評価を行った。 まず安定なバクテリオクロリン分子として、7,8位にexo-六員環を有するバクテリオクロリン分子を合成した。この分子は7位がジアルキル化されているため、天然に存在しているバクテリオクロリンより非常に安定であった。またこの安定なバクテリオクロリン分子は3位の変換が容易であり、エチル、ヒドロキシエチル、ビニル、アセチル、ホルミル基の五種類を合成することができ、その可視吸収スペクトルも3位の置換基によって系統だって制御することができた。 自己会合性バクテリオクロリン分子については、天然のバクテリオクロロフィル-aから、自己会合に必須な3^1位水酸基、中心金属のマグネシウム、13位のケトカルボニル基をもったバクテリオクロリンを合成した。またこのときに3^1位の不斉による異性体を分離し、そのR/Sを決定した。自己会合においてはこの3^1位の不斉が大きく影響し、R体においては近赤外領域(910nm)にまでQy吸収帯が長波長シフトするのに対して、S体はR体より長波長シフトの量が少なかった。この差について分子モデル計算を用いて解釈すると、バクテリオクロリン分子の7,8位の置換基が分子のスタッキングに影響を与えていることが示唆された。 今年度の研究によって、バクテリオクロリン分子の7,8位に様々な置換基を導入することで、分子の安定化を図れるとともに自己会合挙動を制御することもあわせて行うことができると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Michio Kunieda, Tadashi Mizoguchi, Hitoshi Tamiaki: "Diastereoselective self-aggregation of synthetic 3-(1-hydroxyethyl)-bacteriopyrochlorophyll-a as a novel photosynthetic antenna model absorbing near the infrared region"Photochemistry and Photobiology. 79(1). 55-61 (2004)