2005 Fiscal Year Annual Research Report
電気的シナプスを含む神経場における動的細胞集成体形成の時空ダイナミクスと情報処理
Project/Area Number |
03J52021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 裕 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カオス / ニューラルネットワーク / 同期現象 / ギャップジャンクション / カオス的遍歴 |
Research Abstract |
大脳皮質に存在する介在細胞のモデルである,I^*型ニューロンモデルをギャップジャンクション型シナプスにより一次元状に結合した回路網における集団的ダイナミクスを研究した.結合強度と刺激電流を制御パラメータとしたときの振る舞いの変化を調べ,このパラメータ空間における相図を明らかにした.パラメータ空間において秩序的な振る舞いから乱流的な発達したカオス的な振る舞いに変化する境界付近の広い範囲において,系の軌道が,全てのニューロンが同期して振動する状態に一旦近づいた後に離れる振る舞いが見られることがわかった.この付近では多様な分岐を経て秩序的な振る舞いから乱流的な振る舞いへの転移が見られるが,その典型的な例として,In-Out間欠性を経て乱流になる例と,On-Off間欠性を経て乱流になる例を見いだし,それぞれの場合について分岐の構造を明らかにした.On-Off間欠性を示すアトラクタが安定性を失う直後では,階層的な間欠性が見られる.この階層的な間欠性のメカニズムを明らかにした.これらのモデルにおける間欠的な同期現象は,神経系における遷移的な同期現象を理解する上で重要な役割を果たす可能性があると考えられる. また,このような遍歴的振る舞いをする介在細胞群と,錐体細胞群からなる細胞集成体において,外からこの系に入力された時系列がどのように保持,表現されるかに関して,カントール・コーディングによる時系列の情報表現の可能性を考え,モデルによるシミュレーションを行った.その結果,適切な条件下において,錐体細胞群の状態変数から構成される状態空間に,入力時系列の履歴がカントール集合的な形式で表現されていることがわかった.
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