2003 Fiscal Year Annual Research Report
微少電極と分子生物学的手法を用いた根圏微生物と根の相互作用および環境浄化能の解析
Project/Area Number |
03J52031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 吉志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 根圏 / 微小電極 / 微生物群集構造解析 |
Research Abstract |
ヨシの培養 実験に用いたヨシ(Phragmites spp.)は北海道大学内に生息していたヨシを採取し、実験に用いた。採取したヨシは実験室内で人工培地を用い2ヶ月間の培養を行った。 微小電極による根面および根圏の物質濃度分布の測定 根表面からの酸素の放出は先端から30mmまでの範囲でのみ観察され、酸素の放出が最も多いのは先端から20mmの地点であった。酸素の放出によって根表面から約1mm程度の範囲が好気的な環境に変化していた。酸素の放出は根表面付近でのアンモニア酸化反応を促し、環境中から窒素循環の一端を担っている事がわかった。 根圏生物膜の微生物群集構造解析 微小電極を用いた測定の後、培養していた容器からヨシ(Phragmites spp.)の根を採取し、観察すると、根には約1mm程度の生物膜が形成されていた。そこでこの生物膜内の微生物群集構造解析を行った。生物膜からDNAを抽出し、16SrDNAを対象に解析を行った。現在解析によって明らかにしたクローン数は91である。この結果、根圏内にはProteobacteria、Bacteroides、FirmicutesそしてNitrospiraeなど様々な細菌が検出された。窒素循環に関係する細菌としては、アンモニア酸化細菌であるNitrosomonas spp.およびNitrosospira spp.に属する菌に近縁なクローンが5クローン検出され、亜硝酸酸化細菌であるNitrospira spp.に近縁なクローンが2クローン検出された。物質濃度分布および菌相解析の結果から根圏内において硝化反応が生じている事が明らかになった。
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