2004 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア国際関係史:19世紀後半-20世紀初頭におけるロシア・中国・日本の国境
Project/Area Number |
03J52061
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Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
天野 尚樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | サハリン / 国境 / 日露関係 / 北東アジア / 心象地理 / 帝政期ロシア / 帝国 |
Research Abstract |
平成15年度科学研究費補助金(特別研究員奨励費)を利用して、モスクワで収集した資料をもとに、「『ロシア』の範囲:帝政期ロシアにおける『想像のロシア化』」という論文を執筆した。1850年代から、千島樺太交換条約が締結された1875年前後までの時期にロシアで刊行された新聞・雑誌・単行本のなかから、サハリンをめぐる論考を網羅的に検証し、帝政期ロシアにおいてサハリンがどのような空間としてイメージされていたかを分析した。確かに、千島樺太交換条約により、サハリンは国際法的にロシアの領土であることが確定した。しかし、当時のロシア人の心象地理において、サハリンは「想像上の国境」の外側=「非ロシア」の空間とイメージされていたことが、当時の言説分析によって明らかになった。 北海道大学スラブ研究センター主催国際シンポジウム「スラブ・ユーラシアと隣接世界の再編」で、「帝政期ロシアの領域認識:心象地理のなかのサハリン」と題する報告をおこない、上記論文の分析をもとに、そのサハリン・イメージを帝政期ロシアの帝国的行動一般のなかに理論的に位置づける試みをおこなった。 平成16年度科学研究費補助金を利用して、平成17年2月から3月にかけて、サンクトペテルブルクのロシア国立図書館にて資料収集をおこなった。この資料をもとに、上記論文同様の分析視角からの研究を、帝政崩壊までの時期にかけておこなう。
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Research Products
(1 results)