2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小胞輸送に関わる新規VHSドメイン蛋白分子群の機能と抗原提示機構
Project/Area Number |
03J52071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 秀行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Hrs / STAM1 / STAM2 / ESCRT / MVB |
Research Abstract |
STAM1,STAM2,Hrsは、IL-2やGM-CSF刺激によりチロシンリン酸化される分子として我々が同定単離した。STAM1,STAM2,Hrsは、VHSドメイン蛋白質として総称され、酵母Hrs,STAMsホモログ分子であるVps27pやHse1が小胞輸送経路に関わる機能を持つことが報告されたことから、これら分子はいずれも小胞輸送制御関連分子であることが推察されていた。本研究においてSTAM1,STAM2,Hrsがearly endosome上でESCRT複合体を形成し、multivesicular body(MVB)の形成に関与することを明らかにし、これら分子が哺乳類細胞においても小胞輸送経路に関わっていることを示した。さらに、Hrs欠損繊維芽様細胞、およびSTAM1,STAM2ダブル欠損繊維芽様細胞を用いて、細胞内に取り込まれたEGF受容体のmultivesicular bodyでの陥入異常によるdegradation障害を確認した。 次に、ESCRT複合体構成分子にはユビキチンが認識ドメインが認められることから、Hrs,STAMsのユビキチン結合部位ならびにVHSドメインの欠失変異体を作製し機能解析をおこなった。ユビキチン結合部位を欠失させたSTAM1の発現は、野生型に比べて増加していたことから、STAMsは、ユビキチン結合部位依存性に発現の不安定性が規定されていることが明らかとなった。他方、Hrs欠損繊維芽様細胞においてはSTAMsが速やかに分解されていることが判明した。この原因を同定する目的でHrs欠損繊維芽様細胞にHrs変異体を導入した細胞を作製し、STAMsの機能解析を行った。その結果、STAMsとの結合が必要であるCoiled-Coil領域を欠損したHrs変異体導入細胞において、STAMsの発現が著しく低下していた。STAMsの発現低下は、mRNAレベルではなく蛋白質レベルであった。すなわち、STAMsの蛋白質レベルでの安定性に、Hrsの会合が必要であることが分かった。以上のSTAMsの分解は、プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチンによって抑制されたことから、STAMsの分解はユビキチン-プロテアソーム系(UPS)において行われ、その制御にHrsが深く関与している可能性が想定された。
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Research Products
(1 results)