2003 Fiscal Year Annual Research Report
時間変化する境界をもつ粘性流体の運動に対するSPH法を用いた基礎研究
Project/Area Number |
03J52081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永弘 進一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自由境界 / 粘性流体 / 衝突 |
Research Abstract |
非圧縮の粘性流体と、剛体円板の重力下での衝突のモデルを構築した。主に数値シミュレーションを用いて、円板の受ける力、衝突時の流体の運動、エネルギー散逸、円板の反発条件等を詳細に調べた。特に斜め衝突での反発の条件を解析した結果、エネルギー散逸が最小になる衝突角度(円板の速度ベクトルの方向と水面の間の角度)が、有限の値に見いだされた。これらの結果の検証の為には、同様の条件で行われた実験との比較が不可欠である。現時点で、シミュレーションのモデルは計算負荷の観点から2次元系であり、これは現実の3次元系で言えば、円柱と水面の衝突に対応する。しかしそのような実験は数少なく、本研究の計算結果と実験の比較はまだ不十分である。 薄い円板と水面との衝突の詳細が実験が、Christophe Clanet, Fabien Hersen, Lyderic Bocquetによって、最近Nature誌に報告された。それによると、衝突後に円板が反発する条件について、最適の角度がある事が観察されている。ここで言う衝突角度は、2種類ある。一つは円板の速度ベクトルと水面の間の角度であり、もう一つは入射する円板の平面の法線ベクトルと水面のなす角である。前者が約20度、後者が約70度のときに反発過程でのエネルギー散逸が最小になる。特に前者の特徴的な角度の現れの由来は、我々が2次元モデルのシミュレーションで見いだした衝突の最適角度の存在の由来と同一のものであると期待し、これをさらに検証するため、3次元系の計算モデルを新たに構築し、シミュレーションの開発を行った。現在そのモデルを用いて、実験の検証および実験でカバーする事のできないパラメータ領域での衝突の解析を行っている。
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Research Products
(1 results)