2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気大循環モデルに結合した3次元化学輸送モデルによる成層圏オゾン再解析
Project/Area Number |
03J52091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 和幸 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成層圏 / オゾン / 大気大循環 / 化学輸送モデル / 大気微量成分 |
Research Abstract |
気象庁・気象研究所と共同で、大気大循環モデルに結合した3次元化学輸送モデルを利用した成層圏オゾン全球実況監視システムを開発している。大気大循環モデルは全球の気象を、化学輸送モデルは化学反応と大気輸送を計算する数値シミュレーションモデルである。特に、結合モデルと同化手法とを組み合わせ、過去10年程度の日々のオゾン全球分布を再現し、その変動機構の解明を目指している。 これまで、過去数年程度のオゾン分布の再現に成功し、オゾンを含む大気微量成分の変動機構を特に大気波動活動に関連した輸送過程の観点から解析している。また、物質輸送過程の解析手段として、等温位面の質量重み付き帯状平均に基づく独自の輸送特性診断ツールを作成し、オゾン分布の季節変動機構の解析に適用している。本研究により、化学過程と輸送過程の総和としてオゾン全量の季節変動が次のように理解された。(1)北半球中高緯度では、極向きの成層圏子午面循環が春季のオゾン全量極大などオゾン分布の著しい変動に寄与している。(2)低緯度では、成層圏子午面循環による減少は中部成層圏での化学的生成および下部成層圏・上部対流圏での赤道向き渦輸送による増加とほぼ平衡し、オゾン全量の季節変動は小さい。しかし、北半球冬季にオゾン全量の極小が見られ、これは北半球中緯度におけるプラネタリー波活動の増大と関連した子午面循環の強化により説明される。(3)南半球中高緯度では、北半球とは異なり平均流の寄与は小さく、南極オゾンホールの回復には中部成層圏における中高緯度大気の混合が重要であるといったように渦輸送がオゾン全量の季節変動に対して支配的な役割を果たす。
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Research Products
(1 results)