2005 Fiscal Year Annual Research Report
永久塩泉による海洋深層水の汲上げおよび海洋中での管内流に関する研究
Project/Area Number |
03J52111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椿 耕太郎 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 永久塩泉 / 海洋深層水 / 海洋緑化 / 人工湧昇 |
Research Abstract |
本年度6月から7月にかけて、海洋研究開発機構の研究船白鳳丸の研究航海に参加し、永久塩泉により汲上げた海洋深層水の、植物プランクトンへ与える影響の観測実験を行った。昨年度までの実験で、永久塩泉により海洋深層水を一定量、連続的に汲上げることが可能であることを示した。また、これまで海洋における海洋深層水の人工湧昇による植物プランクトンの増加はほとんど報告されていない。 実験は植物プランクトンのほとんど存在しない海域である、太平洋マリアナ海域において行った。湧昇用のパイプには柔軟な塩化ビニル樹脂製シートと断面形状保持のための鉄製の強化リングにより構成される、長さ300m、直径0.3mのものを用いた。実験では、パイプ外部上部付近に植物プランクトンの測定のためのクロロフィルセンサーを設置し、測定は実験開始から、約一ヶ月連続して行われた。この測定結果から、パイプ出口付近で植物プランクトンの増加を観測した。 また、実験環境を模擬した数値シミュレーションを行い、パイプ直径の湧昇量に及ぼす影響の予測や、実験海域以外の生物生産性の低い海域での湧昇量の予測を行い、永久塩泉による海洋緑化の可能性の検討を行った。 永久塩泉は人工湧昇の維持に人為的なエネルギー源が必要ではなく、故障の原因となる複雑な可動部のない簡単な構造であるため、多数の設置が容易であるだけでなく、維持管理に手間がかからない。永久塩泉は海洋緑化を目的とする海洋深層水の汲上げには、以上の特徴から理想的な方法であり、今回の実験結果から、その実現の可能性は充分にあると言える。
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Research Products
(2 results)