2003 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける平等概念・平等政策 -性差別からのアプローチ-
Project/Area Number |
03J52131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 珠子 東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 平等 / 差別 / 性 / 雇用 / 労働法 / アメリカ / 公民権法 / 差異 |
Research Abstract |
性差別を中心としながらもそれ以外の人種あるいは宗教、年齢、障害者差別といったさまざまな分野のアメリカの平等概念や平等政策に関する日本語による先行研究の収集を行い、それらを読むことによって、主に1964年の公民権法(Civil Rights Act of 1964)以来、判例の積み重ねや議会による法改正を経ながら発展を続けているアメリカの雇用差別禁止法の基本的な枠組みを理解・整理できたと思われる。これと同時にこれまであまり日本では研究されてこなかった分野にも焦点を当て、今後の研究の方向性を決めていくこととした。特に性差別の分野では、男女を平等なものとして取り扱う(平等アプローチ)べきか、それとも差異のあるものとして取り扱う(差異アプローチ)べきかという点を今後の研究の課題の中心として検討していきたいと思っている。 また、英語文献としてはまず公民権法、年齢差別禁止法、障害を持つアメリカ人法等に関する教科書的な文献を読み、それらの内容と雇用差別に対する救済方法などの基本的枠組みを理解した。特に差別の立証方法については差別訴訟に特有でありかつ裁判において重要な役割を果たすため、詳細な検討を行った。さらに、アメリカの雇用差別についての近年の論文や連邦最高裁判所の重要な判例を読むことによって、現在アメリカで活発に議論されている論点を知り、今後の研究の進め方に取り入れていこうとしている。また、様々な差別禁止事由があるなかで、各禁止事由によって取り扱いに差があるのか(差別と非差別との境界に差があるのか)を現在検討しているところである。今後は、差があるとすればどのような点にあるのか、何故差が生じるのかを検討していきたいと思っている。
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