2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける平等概念・平等政策-性差別からのアプローチ-
Project/Area Number |
03J52131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 珠子 東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 平等 / 差別 / 雇用 / 性 / アメリカ / 障害者 / 構造的アプローチ / 家族的責任 |
Research Abstract |
1960年代以降、雇用差別が解決されなければならない問題として認識され始め、先進諸国では差別禁止法の制定などによってこの問題に対処しようとしてきた。しかしながら、雇用差別が解決するには至っておらず、各国で模索が続いているところである。日本も、1985年に男女雇用差別均等法を制定し、1997年には同法をより実効性のあるものとして改正するなど、特に日本では問題となっている性差別の解消に向けて様々な取組みが見られているが、十分な成果をあげているとはいえない状況にある。 私が研究対象とするアメリカは、世界に先駆けて雇用差別禁止法(1964年の公民権法第7編)を制定し、その後も法改正や裁判例の蓄積により理論を発展させてきている。このアメリカを研究することにより、アメリカのめざす平等概念や平等政策を明らかにすることが本研究の第1の目的であり、また、アメリカの姿から示唆を得て、日本における雇用差別問題の解決にむけた方向性を示すことが第2の目的である。 この目的の下、論文を書き進め、平成16年度末に博士論文の提出をすることが出来た。本論文では、アメリカの雇用差別に対する歴史的な経緯を検討し、さらに公民権法第7編の内容を紹介し、近年の法改正や裁判例についても十分な検討を行った。また、近年アメリカにおいて提唱されている、企業内部での問題解決を薦める「構造的アプローチ(structural approach)」についても検討し、効果的な差別問題の解決に向けた取組みのあり方を提示することが出来た。 日本の問題については、1つ目として、昇進・昇格差別や、コース別雇用管理制度についての裁判例を検討し、これらの問題に対する法的なアプローチのあり方を検討した。2つ目としては、新しい法律である「次世代育成法」等を取り上げ、育児や家事、介護といった「家族的責任」の問題が、今後どのように扱われるべきかについて検討した。
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Research Products
(1 results)