2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトゲノム解析により見出されたC型肝炎ウイルス感染感受性に関与する遺伝子機能解析
Project/Area Number |
03J52141
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥本 和夫 山形大学, 医学部・消化器病態制御内科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | C型肝炎ウイルス / SNPs / TGFβ / siRNA / 骨髄細胞 / Notchシグナル / 分化 |
Research Abstract |
1、C型肝炎ウイルス感染者における感染経過と関連する遺伝子をSNPs解析を行った結果、32遺伝子における50SNPsが検出された。これらにはウイルスの細胞吸着、宿主の免疫応答肝線維化の進展に関与が示唆される遺伝子が含まれていたことを明らかにし、第7回日本肝臓学会大会(大阪)において発表されている。またウイルスの細胞吸着に関与する2種の遺伝子SULT2B1およびAP1B1にHCV感染後経過との関連で優位なSNPsが認められた。また樹状細胞のprogenitor markerとしてのCD34遺伝子、数種のinterleukin、interferon関連遺伝子TGFβおよびその関連遺伝子にHCV感染後経過との関連で優位なSNPsが認められている。 2、本研究の目的はC型肝炎ウイルスのゲノムによる感受性の違いを明らかにすることであるが、C型肝炎ウイルスが一度感染したにもかかわらず自然に排出される患者がいるかどうかは非常に重要な問題である。我々は住民検診からHCVをPCR解析することにより、自然消失例が存在することを見い出して発表した。 3、ゲノム解析と同時に患者間の免疫能と発癌の関連を調べることも重要な課題である。まず、我々はC型肝炎患者のIL-10に着目し、その違いによる肝癌患者の生存期間を検討して発表した。さらに同様の研究をTGF-βに関しても行い、現在Liver Internationalへ投稿中である。 4、ヒトゲノムに対してHCV側のゲノムによる感受性も重要である。現在HCVの5'非翻訳領域(5'UTR)を阻害するsiRNAをプラスミドに組み込み、HepG2などの肝癌細胞に発現させる系が行われているが、我々は骨髄細胞が肝様細胞へと分化可能であることに着目し、ヒト骨髄由来肝様細胞へ、5'UTRを阻害するsiRNAを組み込んだプラスミドで導入することを計画している。その予備実験として、ラット骨髄を肝特異的遺伝子を発現する細胞へ分化させることに成功し、その分化にはNotchシグナルが関与することを発表した。さらにin vivoにおいても、GFP-Tgラット骨髄を移植し、細胞除去用磁気分離システムにより採取したラット骨髄幹細胞の肝細胞への分化、細胞除去用磁気分離システムにより採取したラット骨髄幹細胞の肝細胞への分化、肝障害モデルラットへのGFP骨髄細胞脾臓内移植の検討として発表した。また、Liver Internationalへ投稿予定である。 5、現在、すでにヒト骨髄細胞から肝様細胞へ分化することを確認している。HCVを阻害するsiRNAを組み込んだプラスミドが導入できれば、C型肝炎への遺伝子治療の媒体となるのではないかと期待し実験を進行させているところである。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Okumoto K et al.: "Differentiation of bone marrow cells into cells that express liver-specific genes in vitro : implication of the Notch signals"Biochem Biophys Res Commun. 304(4). 691-695 (2003)
-
[Publications] Watanave H et al.: "Spontaneous elimination of serum hepatitis C virus (HCV) RNA in chronic HCV carriers : A population-based cohort study"J.Med Virol. 71(1). 56-61 (2003)
-
[Publications] Hattori E et al.: "Possible contribution of circulating interleukin-10 (IL-10) to anti-tumor immunity and prognosis in patients with unresectable hepatocellular carcinoma"Hepatology Research. 27(4). 309-314 (2003)