2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 恭 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 数理ファイナンス / マーケット・インパクト / 流動性 |
Research Abstract |
数理ファイナンスにおける流動性の問題の一つとして、投資家の証券の売買が証券価格を変動させてしまうマーケット・インパクトの問題があるが、その影響を考慮した市場モデルにおける最適執行戦略について、昨年に引き続き研究を行った。 方針として、まず、ある投資家の売却が無い時の証券価格の変動は、時間的に一様なマルコフ型の確率微分方程式の解が定める確率的流れに従うとし、また自己の投資行動による証券価格へのマーケット・インパクトの影響は、対数価格に対して線形であるとしたとき、離散時間モデルにおける投資家の最適執行問題を、終端時刻の清算価値、残存証券保有量及び証券価格に対する期待効用の最適化問題として定式化した。そして、対応する値関数について、特に投資家の売却が無い揚合の証券価格の変動が幾何ブラウン運動または幾何オルンシュタイン・ウーレンベック過程に対応する確率的流れに従っているとしたとき、取引時刻の間隔を短くすることによる極限を導き、それが、連続時間モデルにおける、累積的な売却量を制御として持つ最適制御問題に対応する値関数となることを示した。この時、連続時間モデルにおいての許容執行戦略は時間について連続なもののみを考慮すればよいことが分かった。また、離散時間モデルにおけるベルマン方程式から、連続時間モデルにおける値関数はベルマン原理を満たし、さらに、値関数は時刻について原点以外で連続であり、原点でのみジャンプが発生することが分かった。
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