2003 Fiscal Year Annual Research Report
微視的機構に立脚したコンクリート材料の時間依存構成モデルの構築
Project/Area Number |
03J52271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅本 晋吾 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 毛細管張力 / 遅れ弾性 / インクボトル |
Research Abstract |
本研究では,収縮・クリープを微視的機構に立脚し統合して捉え,時間依存変形の一般化を試みることを目的にしている。そこで,毛細管張力によるセメント硬化体の内在収縮応力が,材料の体積変化に与える影響について検討した.乾燥後,即座に封緘を施し毛細管張力の増加を意図的に停止させ,一定内在応力下での時間依存変形挙動を観察した.数日の乾燥後封緘した場合,内在応力による持続変形は見られず,むしろ収縮は回復する方向に転じた.封緘によって内部の水分が乾燥した表面に移動し平衡状態に至ると,ヒステリシスの乾燥・湿潤経路の違い及び凹の曲線形状によって平均の内部相対湿度は封緘前に比べ上昇する.DuCOMによる解析でも同様の傾向が示され,内部相対湿度が上昇することで収縮は回復したと考えられる.一方,解析では収縮回復後内在応力によって収縮が進行するのに対し,実験では収縮回復後変形が進行しないという結果になった.乾燥後封緘させると毛細管張力が低下するため,収縮の進行とともに遅れ弾性ひずみが徐々に回復し見かけ上時間依存変形は発生しないことが理由として挙げられる.条件を変えて1日程度の乾燥後封緘させると,収縮の回復は小さくその後わずかではあるが収縮の進行が見られた.以上のことから,内在収縮応力がもたらすクリープ変形挙動の一層の検討及び作用応力が徐々に低下するときの遅れ弾性挙動の検討・モデル化が16年度の検討課題に挙げられる. また,15年度の楠原らの研究によって,幾何学的構造に起因するインクボトル中の水分が高温条件下において徐々に逸散することが明らかになった.インクボトル中の水分が逸散した場合,理論上毛細管張力の作用体積が減少するため収縮が低減,もしくは回復することになる.こうした傾向は実現象において観察されていないことから,インクボトル中の水分挙動が力学的な挙動に与える影響を検討することが課題に挙げられる.
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Research Products
(1 results)