2005 Fiscal Year Annual Research Report
微視的機構に立脚したコンクリート材料の時間依存構成モデルの構築
Project/Area Number |
03J52271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅本 晋吾 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 長期クリープ / ゲル空隙 / ひび割れ照査 / 分子動力学 |
Research Abstract |
博士課程最終年度である本年度は,既存のマルチスケール複合構成モデルの高度化と実構造物への適用,さらには分子シュミレーションを行い,博士論文としてまとめた.以下に,本年度の成果をまとめる. 長期的な変形予測の観点から材料構成モデルを再検証し,その有意性について検討した.実験との比較を通じ,既存モデルはクリープ変形の収束が比較的早く長期的な持続変形を再現できないことが分かり,修士で得られた結論をもとに数ナノメートルレベルの微細空隙内の水分挙動に着目した.ゲル粒子内,ゲル粒子間に存在する水分を各々の輸送特性に応じて分離してモデル化を行い,長期的な変形予測の改善を図った.さらに,応力履歴を考慮した粘塑性変形モデル,実験に基づいた層間空隙変形モデルを提案し,適用範囲の拡大を行った.提案モデルによって,長期挙動・高温環境など種々の環境・境界条件の時間依存挙動の精度向上が達成された. 提案システムをPRC道路橋に適用し,実際に発生した初期ひび割れに関する検討を行った.ひび割れにつながった各種要因について,解析的な観点から定量的検討を行った.建設時の気温,コンクリートの配合,ならびに過剰な鉄筋配置が多大なひび割れをもたらす要因として挙げられ,検査報告と適合する妥当なシミュレーション結果が得られた.実構造物のひび割れ照査に本解析システムが有効に適用できることを示したのである. 分子レベルの空隙内水分の輸送係数(粘性,拡散係数)を分子シミュレーションを用いて算出した.バルク状態の水分の各輸送係数(粘性,拡散)については精度良く追跡することが可能になった.固体壁面ポテンシャルの同定にはまだ不明な点が多いが,クーロンポテンシャルも含めた単純固体壁モデルによって,各輸送係数がバルクの数千倍のオーダーで変化することを明らかにした.
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Research Products
(2 results)