2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J52291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 琢 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 議会 / 委員会 / 政党優位論 / 議員 / 政策選考 / 中選挙区 / 日本政治 |
Research Abstract |
10月に日本学術振興会の特別研究員となり,本研究を進めて以来,本研究の進捗はおおむね順調である. 議員の政策選好に関し,まずデータを整理するところから開始した.具体的には10月に入る前に国会議員の委員会への出席についてデータを収集し整理した.このデータの一部は蒲島郁夫研究室ウェブサイト(http://politics.j.u-tokyo.ac.jp/)、にてダウンロードし,利用可能な形式で公開している.このデータを元に現時点で次のような分析結果を得ている. まず,議員の一般的な活動状況に関して,審議機能の停滞と呼ばれている現象について調査した.具体的には立法数,会議開催数,委員会出席総数を比較的に観察し,会議開催数の減少は立法数の減少とパラレルであり,一法案あたりの審議参加人数は上昇していることがわかった.これ以外に先行研究で指摘された定例日化についても調査し,量的側面からは審議機能の低下と呼べる現象は存在しないという結論を得た.ここまでの研究の成果は,今のところ蒲島郁夫ゼミ編『参議院の研究』(木鐸社,2003年)に掲載予定である. この基礎的研究を踏まえ,議員の委員会別の出席態度を調べた.その政策分野に対する議員の熱意,政策選好が出席率に示される.議員の委員会への出席率は戦後一貫して上昇しているが,自民党について委員会別に見ると,建設や農林などの分野と,外交や環境などの分野では出席率に明確な差が存在する.これは政治家の特定の政策への関心の増大を意味し,猪口・岩井的な政党優位論の主張(官僚優位から政党優位への移行)を量的な面から裏付けるものである.ここまでの研究成果については,論文として書き終えており,いくつかの研究報告ののちに学術誌に投稿予定である. これらに加え,中選挙区制下における票の棲み分けに関する分析を平行して行っており,次年度中に発表できる予定である.
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