2003 Fiscal Year Annual Research Report
亜高山帯・高山帯の保全のためのユキワリソウを指標としたモニタリング手法の検討
Project/Area Number |
03J52321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下野 綾子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Primula modesta / 個体群動態 / 土壌シードバンク / マイクロサテライトマーカー / 遺伝構造 |
Research Abstract |
長野県浅間山に生育するユキワリソウ個体群を対象に、繁殖特性および個体群動態の調査、環境条件(気温・地温)の測定を昨年から引き続き行った。生育地の土壌を採集し、実生発生法により土壌シードバンク量を把握するとともに、現地において種子の埋土実験を行い、土壌シードバンク動態を定量化した。今年度までに地上・地下両方の個体群の動態を評価するのにほぼ十分な定量的データを取得することができた。 個体数だけでなく質の面からも個体群動態や存続性を評価するために、多型性の高い共優性の遺伝マーカーであるマイクロサテライトマーカーの開発を行った。Fisher and Backmann (1988)を改変した方法で磁性粒子を用いてマイクロサテライトを濃縮し、マイクロサテライト濃縮ゲノミックDNAライブラリーを構築した。マイクロサテライトを含むシークエンスに基づいて、マイクロサテライトを挟み込む領域に相補的なPCRプライマー組をOLIGO computer program (National Biosciences)を使用して設計した。開発された10座のマイクロサテライトマーカーを使用して浅間山のユキワリソウ個体群を対象に約100個体の遺伝子型を決定し、FSTAT (Goudet 1995)を用いてそれぞれの遺伝子座についての1遺伝座あたりの対立遺伝子数Na、ヘテロ接合度の観察値Hoとハーディーワインベルグ平衡を仮定して算出した期待値Heを計算した。。Naは5-21(平均9.5)、Hoは0.399-0.840(平均0.564)で1座を除きHeとの有意なずれは見られなかった。今後このマーカーを用いて土壌シードバンク由来の遺伝的構造の評価、デモグラフィーと遺伝的なパラメーターの統合を検討する。
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