2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素状態における炎症性サイトカインの発現調節機序の解明
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03J52341
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
オルガ サフロノバ 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | IL-8 / MCP-1 / IL-1 / HDAC / NF-κB / 低酸素 |
Research Abstract |
炎症下は局所的に低酸素状態であることが最近の研究で明らかとなり、炎症の場におけるサイトカインのクロストークに低酸素を考慮する必要があることより、本研究はケモカイン産生の低酸素による影響とその調節機序の解明を目的として行なわれた。IL-1βの刺激を細胞に加えると、白血球遊走因子であるMCP-1およびIL-8の産生が惹起されるが、低酸素下においては、この上昇がMCP-1では抑制され、IL-8では亢進されることが明らかとなった。しかも、これらケモカインのプロモータアッセイにより、ともにNF-κBが重要な転写因子であることが明らかとなり、この低酸素下による発現調節の違いの解明が必要となった。このMCP-1産生とIL-8産生の低酸素下における発現の違いは、プロモータアッセイでは認められないことより、クロマチン構造に注目し、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤を用いて実験を行なった。その結果、種々のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤を用いて、低酸素における両ケモカインの産生を調べたところ、用いたすべてのHDAC阻害剤処理で低酸素によるMCP-1mRNA発現の抑制が解除され上昇が認められた。さらに、HDAC活性を調べたところ、低酸素下におけるHDAC活性の上昇が認められた。さらに、NF-κB阻害剤(MG132)やNF-κB結合サイト変異体を用いた実験の結果、低酸素によるMCP-1の抑制にもNF-κBが関与していることが明らかとなった。 以上の結果より、IL-8は低酸素においてもHDACの関与無しにNF-κBの相加効果で、低酸素による産生亢進が、MCP-1の場合は、低酸素によりHDACとp65の結合が起こり、この複合体がMCP-1プロモータ領域に結合することにより、低酸素による抑制効果が現れることが推測された。現在、CHIPアッセイおよび免疫沈降法を用いて、このことを確認している。
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