2004 Fiscal Year Annual Research Report
ボンベシン様ペプチド受容体機能昂進の影響と受容体分子機能ドメインの解析
Project/Area Number |
03J52351
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大久保 舞子 (岩渕 舞子) 国立大学法人東京医科歯科大学, 大学院疾患生命科学研究部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ボンベシン様ペプチド / 受容体 / 脳 / ニワトリ / 層構造 |
Research Abstract |
ボンベシン様ペプチド受容体ファミリーに属するガストリン放出ペプチド受容体(GRP-R)、ニューロメジンB受容体(NMB-R)は神経系において神経調節物質として社会性行動や肥満などに関与している。またこれらの受容体は細胞の分裂、移動、分化などに関わるという報告もなされている。これらの受容体は脳においても幼若な時期から発現しており、脳の発生においても重要な役割を果たしていると考えられる。そこで我々はGRP-R、NMB-Rの脳の発生における役割や病態生理を明らかにするため、胚操作が簡便なニワトリ胚を用い、組換えレトロウイルスを利用して脳特異的に各受容体を発現させ、形態学的解析を行った。その結果GRP-R過剰発現胚では終脳、視蓋、特に小脳において低形成や層構造の異常が認められた。これらの組織では脳室周囲にあるradial gliaやBergmann gliaの突起の伸長に異常が見られ、細胞移動が影響を受けていることが示唆された。さらに小脳が低形成であったにもかかわらず、PCNA抗体で濃染される細胞やリン酸化ヒストン陽性細胞が増加していた。小脳においてはTUNEL陽性細胞も増加していたことから、異所的に分裂している細胞はアポトーシスに至り、それが小脳の低形成とも関与しているものと思われた。またGFAP陽性細胞がhyperpallium accessoriumや視蓋外層において増加するとともに、終脳においては小さく紡錘型の細胞も増加していた。この形態は未分化な腫瘍細胞の形態にも似ており、ボンベシン様ペプチド受容体は腫瘍の形成において、分化や悪性度の指標となっていることが推定された。一方NMB-R過剰発現胚では層構造は十分に発達しており、脳の大きさも拡大していた。これらのことから、GRP-RとNMB-Rは脳の発生に関与しているが、その作用機序は異なるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)